続き

菊地成孔さんはほとんどテレビも見ない、ミュージックチャートも見ない、と言ってる訳だけれど、その彼から出てくるのが、

松任谷由実吉田美和椎名林檎など、偉大な先達がその引き出しの中に常備していた〈和物〉というカードを、

という文章なのだ。宇多田ヒカルと比べる女性ミュージシャンの例を引くのに、浜崎あゆみ竹内まりやでなく、この三人が出てくるあたりが絶妙。

菊地成孔さんの批評が面白いのは、その専門的な知識とくだけすぎた文章のギャップからくるわけだけれど、彼の批評を読んでなんとなく納得してしまうのは、上のような例を挙げるときのセンスによるものが大きいと思う。

菊地さんのメジャーカルチャーへの見方・スタンスが、専門家であるにもかかわらず、我々一般人の公約数的な見方とほぼ一致している(ような気にさせる)ことが、信頼感アップのポイントだと思う。